卒業後は大手システムインテグレーター、リクルートを経てGoogleに入社。不動産情報に変革をもたらす新チームを自らの手で立ち上げるなど辣腕をふるう。
東京で生まれ育った私が、立教大学に入学して、まず驚きを覚えたのが全国各地から学生が集まっていることでした。そして、多くの地域出身の学生たちと接することで、それぞれが育った環境の違いや多様な価値観に触れ、その中で自分をいかに生かすかを学ぶことができました。 この、ある種のカルチャーショックを経て、集団の中で自分を模索し、存在価値を見いだすという大学時代の経験は、社会に出た今も確かに生きていると思います。卒業後、リクルートなどの企業を経て、グーグル日本法人へ入社。グーグルでは前職の経験を生かして、不動産に関する新チームを自ら手を挙げてスタートさせました。
グーグルのミッションは「世界中の情報を整理する」こと。不動産業界に関して言えば、日本ばかりか世界に目を向けても、その情報の多くはユーザー視点に立っていないと常々感じていました。そこで、世界最高のテクノロジーと多彩なデータを持つグーグルなら、ユーザーに真に有益なかたちで情報を提供することができるのではないかと考えたのです。
“世界を変える”という言葉は、グーグルでは非常にリアリティのある言葉です。世界を変えていく可能性に満ちた環境の中にいることで、私自身、キャリアを考えるのではなく、何がしたいかを意識するようになりました。現在、日本全国には700万戸の空き家が存在すると言われています。例えば、この問題をどのように解決するか。空き家をどう生かしていくか。ストリートビューをはじめグーグルが持つテクノロジーと合体させることで、空き家情報は格段にユーザーに近くなるのではないか。優秀なメンバーに囲まれて、いろいろなアイデアが日々浮かんできますが、その原点は、いつも人から。そのサービスを使っているユーザーが、発想の中心にあります。社会に出てみると、立教大学の卒業生の特徴として、頭の回転が速いという印象があります。グーグルでもそうですが、グローバル企業では多様な視点を持った人たちと仕事を進めていくことになります。これからの立教大学には、自ら考え、環境や相手に柔軟に対応し、自分の言葉でコミュニケーションできる人材を育てていってほしいと期待しています。
白石 智良<Google Japan Inc.>
鈴木 英里<東海新報社>